【銀の手筋】割り打ちの銀に、桂頭の銀。攻守要となる銀の使い方を覚えよう!

【銀の手筋】割り打ちの銀に、桂頭の銀。攻守要となる銀の使い方を覚えよう!

ライター: 渡部壮大  更新: 2016年09月21日

今回は銀の手筋を紹介します。

銀は攻めでも守りでも主役になりうる駒。あの羽生善治三冠も最も好きな駒は銀なのだとか

金とは違い、斜め後ろに下がれるのが特徴です。攻守の要、銀の使い方を見ていきましょう。

金銀両替、割り打ちの銀

銀で最もよく出る手筋の一つが「割り打ちの銀」と呼ばれる筋です。飛車、金が1マス置いて横並びになっている際、斜め後ろに打って両取りをかけます。金と銀ではわずかに金の方が価値が上なので、守りの駒を剥がしながら陣形を乱す効果的な手です。

第1図はその応用。ここでは▲5二歩と叩く手が正解で、△同金や△2一飛は角がタダなので△5二同飛と取るよりありません。そこで▲4一銀が割り打ちの銀。以下△7七角成なら▲5二銀不成でも▲7七同銀でも成功です。

【第1図は△5五角まで】

桂を押さえる桂頭の銀

こちらも実戦でよく出る手筋です。

第2図はつなぎ桂の手筋で見たような局面ですね。振り飛車の受け方でポピュラーな例が▲2五銀と桂の頭に打つ「桂頭の銀」です。銀は斜め後ろに利くため、桂の利きに利かせることができます。それと同時にタイミングを見計らって桂を取ることができ、質駒にもしています。玉頭や端を桂で狙われた時は、この手が利けば安全に受けることができます。「桂頭の銀定跡なり」という格言もあるように、受けの基本の一つです。

【第2図】

玉を捕らえる腹銀の必死

第3図は最も有名な必死図の一つでしょうか。ここで▲3二銀が腹銀の手筋で、1手で受けなしとなります。次に▲2三銀成と、▲3一馬△1二玉▲2一銀不成の両方を受ける術がありません。

【第3図】

第4図も同じく▲3二銀と打って必死です。次に▲2一竜の筋がありますし、△3二同玉も▲3一金から簡単な詰みです。
いずれも後手はどれだけ持ち駒があっても受けはなく、必死です。敵玉を捕らえるのに、こうした銀の特性が役に立ちます。

【第4図】

もたれて指す、責める銀

銀は斜め後ろに下がれることから、敵陣に打ち込んで歩を剥がしながら成銀で攻め駒を責める手が特に矢倉戦でよく出ます。第5図は名人戦の最終第7局という大一番。ここから成銀を作る手を狙っていきます。

第5図から▲7二歩△4五金▲1九角△3三銀▲3五歩△3六歩▲5二銀△3五金▲6三銀成。▲7二歩は手筋で、△同飛なら▲8三銀から▲7四銀成で後手の攻め駒を一掃しにいきます。実戦は後手は上部を厚くしにきましたが、飛車の横利きを止めた効果で▲5二銀から▲6三銀成が実現し、後手の角銀桂を負担にすることができました。

【第5図は△6四銀まで】

銀の弱点をつく銀ばさみ

銀の弱点をつく指し方が銀ばさみです。斜め後ろに下がるところをどちらも歩でふさがれ、立ち往生してしまうと銀が助からなくなるので注意が必要です。
第6図は矢倉のある変化で、△4二銀からじっくり指すのが定跡です。ただ、図で歩がタダとばかり△5六銀と欲張るのは大悪手。▲4六歩と突かれて典型的な銀ばさみの形になり、次に▲5七歩と打たれる手を受けようがなく、銀損確定で"投了"となってしまいます。序中盤、単騎で銀を進出させる場合には、銀ばさみの筋には気を付けましょう。

【第6図は▲3五銀まで】

このように銀は攻めにも守りにも多くの使い方があります。角換わりは「棒銀」、「早繰り銀」、「腰掛け銀」と大まかに3つの形に分けられるように、銀の動向によって戦型も決められる重要なポジションです。戦法の名につけられているのも飛車の次に多いのではないでしょうか。大駒のような派手さこそありませんが、「いぶし銀」のような渋さを秘めた駒の魅力はいかがだったでしょうか。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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